うねりも波もなく
ト・ジョンファン
募る思いも、ときめきもなく日が暮れる
1年が過ぎ、ひと月が過ぎ、
顔には黒いしみが増えていくのに
涙も苦痛もなく夜がくる
雨粒一つに山茱萸が咲き、
連翹の花も咲くというのに
うねりも波もなく私は暮れる
とにかく、その場所から離れたかった。
考えているような、考えてないような、感じているような、感じてないような。
掴みどころさえ分からなかった。
このまま時が流れてしまうのは、とても気が引けるし、
自分を見失いそうでおそろしかったから、あてなどないけど川へ向かった。
そんな日々の中で、この詩に出会い、この数年、写真を通して川と自然と、そして自分 と向き合い続けてきた日々は、淡々としていたけど、贅沢な時間だったと改めさせられた。
とめる事の出来ない川と時の流れ。写真は、その流れをとめられると錯覚させてくれ る。それを感じることで本当の自分が見えてくるのかもしれないと少しだけ思った。