懐かしむ


干瓢の味噌汁を作る。

味噌汁の中で一番思い出のある味噌汁。

小さい頃、干瓢の味噌汁が好きだった。

おばあちゃん家で食べる、この味噌汁がとても美味しかった。

子供なのに、干瓢の味噌汁が好きなんて、と父は面白がって良くこの話をしてきた。

おばあちゃん家で、干瓢の味噌汁をおかわりするとかしないとかで揉めて、従兄弟たちの前で、父に、ものすごく怒られた事を思い出した。

干瓢の味噌汁を作りながら、今晩の夕食時に、母は「干瓢の味噌汁が好きな私の事を話す父の話」を絶対するだろう。と思っていた。予想は的中して、一口飲んだ瞬間、いつもの「干瓢の味噌汁が…」話が始まった。どうやら母は、私が干瓢の味噌汁が原因で父に怒られたという記憶はないみたいだった。

この話は、ちょっと胸が痛くなるから黙って聞いていた。

思い出の干瓢の味噌汁。

そんなもんだから、今日のお味は、なんだかイマイチ。

この一週間、家の中をかなり片付けた。とてもすっきり。快適である。

片付ければ当然、昔の写真等も出てくるわけで・・。

作品としての写真は、潔く処分できるけど、こういった写真の処分はなかなか難しい。



なんとも満足気な顔をしている母手作りの洋服を着てる6歳児の私。

娘に、この写真を見せながら「私の人生、この頃が一番平穏で一番可愛かったと思うんだ。」と言うと「今の方が可愛いよ。」と言われた。

私は今、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてるな。と思った。

店長から近況確認の電話が来た。


体調等どうですか?と聞かれ、すこぶる元気です。と答える。

現状では予定通り5月7日から営業再開との事。

毎日、新刊のみ入荷している様子。



本屋でのバイトのこと、何だか遠い日のことのように思った。


慣れてきたこの生活も、ずっと続くわけではないという事を思い知らされる。

© 2023 by mika Noguchi

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