ペンタス






what do you want?


あなたは欲しいものはありますか?


あなたは何かを求めていますか?


私に求めている事はありますか?




今日、バイト先の本屋で貴女は、いつも楽しそうで幸せそうだと言われた。 

事の発端は、週末のバイト帰りに、ひとり、駅ビルでお酒を飲んで帰っている。

という事かららしい。

週末と言っても、毎週ではない。

多くても月に2回くらい。


気がつけば3年目になった本屋でのアルバイト。

店員同士、仲が悪いわけでもない。

至って関係は良好なのだけれど、私はプライベートで会った事もないし連絡先も知らない。

なんとなく歳は幾つで、好きな事はアレで、住んでいる場所がだいたい分かる程度。

そんなスッキリとした気持ち良い関係性の中、ざっくりと其々につくり上げた

「私」を見て、そう思っているのだと思った。


「まっすぐ家に帰りたくないから、バイト帰りに時間潰しでお酒を飲んでる。」

なんて誰も知る由もない。

とは言っても、ひとりで楽しくお酒を飲んで充実した時間を過ごして帰っている訳だから、あながち間違ってもないのだけれど。

ちょっとだけ、ほんのちょっと、私のこと何も知らないくせにね。っと、心の底で、

ちょっとひねくれてみた。



そういえば先月も、大切な人に同じ様な事を言われた。

楽しそうで幸せそうだと。



私は、日々、やりたい事が自由に出来る恵まれた環境にいると自分でも思う。

幸せだと素直にそう思う。

でもね、それなりにあるのよ。それなりに。と、事務所から売場まで、両手一杯に本を抱え、歩きながら小さく呟く。



とは言え、誰かに、そんな風に思われ言われる事は肯定されたようで嬉しくもあるし、

とても幸せな事だと素直に思った。



そして、そういう風に周りから見えている自分を、その目線で、その誰かの目線で自分のことを省みたとき、一体、私は何者なんだ?っと。

感情がすっ飛び、まるでブラックホールに吸い込まれていくような感覚に陥った。

自分がとても遠い存在の様に感じた。

それは、今までに体感した事のない脳内での感覚。

それと感情だった。



健康診断を年に一回受ける。

規則的に、順序よく、言われるがままに、意思をなるべく無くして、従順に動く。

そして、その日だけの、ほんの一瞬の関わりだけどお互いに気持ち良い時間になるようにと接するスタッフの方へ細心の注意を払う。

が、そんな風に気にしているのは、私だけで相手は毎日沢山の人と接しているだけあって淡々と遇らわれる。


コレは車検だと、毎回受診する度に思う。

だから、私は健康診断の時は「車」になる。

薄い検査着を身にまとい、受付で手渡されたファイル片手にあちこち院内を移動しながら「私は車」と何回も言い聞かせる。


でも、痛い時は痛いのだ。

血管に針が刺さる時とか、おっぱいを機械に挟まれる時とか、それと身長も体重も去年と同じなのに、ウェストだけ増えてた時とか。

すっかり「車」になっていたけど、それは肉体が「車」だけであって感情までは「車」にはなりきれないのだ。



毎日、肉体を動かし、ありとあらゆる細胞をフル回転させている。

そして、夜には、その肉体を労り手入れをして休ませる。


肉体を労り手入れをすることは、比較的簡単だと思う。疲れたところ、時には痛いところをメンテナンスし、きれいに仕上げお手入れをする。

いつまでも綺麗でいたいという願いも込めて。


精神を感情を労り手入れをすることは、なかなか難しい。簡単に誤魔化す事が出来るから。

でも、それをキチンと自分で気づき労り手入れをしてあげないと、途端に様々な事が崩れだす。

だから、最近は、肉体よりも、こっちの方に重点を置き意識的にメンテナンスしている。



常に様々な状況、情報、選択の中で生きている。

そして、ひとりで生きている訳ではない。

たくさんの事と巡りあい学びを得て循環させて人は生きている。



この地球で生きているという実感。

感情も身体までも持っていかれ、今、この世に生きている醍醐味を感じる。


今、人として、この私で、この世に生まれ生きている。


難しいことは分からないし、知ろうとも思わないけれど、

私が求めているものは、

私が欲しいものは、

安定した安らぎのある柔らかい太陽の光を浴びている時のような心地よさが伴った感情。

この感情を、今よりちょっと多めに欲しい。

© 2023 by mika Noguchi

Proudly created with Wix.com